ある葬儀の風景 view

「思い出」という大切なキーワード
2020/03/29
ある日のご葬儀です。
喪主である奥様、子どもさんと打ち合わせをして、お人柄など、
たくさんのエピソードも聞かせていただきました。
最後に息子さんに「お父さんの生きてこられた姿を見て、
どんなことを学ばれたとお感じになりますか?」とお尋ねしたら、
沈黙があって「うーん。なんでしょうねぇ~」と・・・
赴任地の海外から、慌てて帰ってこられたという長男さん。
まだ、気持ちの整理もついていないのも無理はないです。
「今、答えていただかなくても大丈夫ですよ。
今夜、多くの方がお見えになって色々な思い出話も出てくると思いますし、
これから、生活される中で、その答えが見つかるのかもしれません。」と私。
次の日、電報の打合せ等で、ゆっくりご家族と話す時間もなく葬儀が始まりました。
遺族あいさつは、先ほどの長男さん。
一般的な挨拶が始まり、途中
「昨夜、司会の方に、お父さんの生きてこられた姿を見て、
どんなことを学ばれたとお感じになりますか?と聞かれました。」
え!! 何おっしゃるんだろう(^_^;) と私。
話しは続きます。
「私は、とっさに答えることが出来ませんでした。
昨夜、来られた皆さんに思い出話も聞かせていただく中、
父の事を色々考えました。
今ここで、具体的には申しませんが、たくさんの事を学んだと感じています。
それらを胸に、これから先、父に胸を張れるよう生きていきたいと思います。」
司会者の私の質問に対して、真摯に考えてくださったのだなぁと嬉しく思いました。
このご家族は、私がお尋ねしなくても、亡くなった方の人生を振り返る時間もおありだったでしょうし
亡くなった方の人生の意義について、考える時間もおありだったでしょう。
私の言葉は単にきっかけにすぎません。
しかし、忙しく動いていて、そんなことをじっくり考える暇がない。
いえ、そもそも、そんな風に故人についてあれこれ考えようとは思わない方もいらっしゃるようです。
ごくまれだとは思いますが・・・
葬儀の前の打合せで、「〇〇さんの思い出を少し教えてくださいませんか?」と申し上げた時
「いきなり、思い出って言われてもね~」と言われたことが何度もあります。
葬儀の打合せの時、祭壇とかお棺とか物の値段だけでなく、「思い出」という大切なキーワード、お伝えししたいですよね。
葬祭業に携わる我々の在り方で「葬儀」の意義も変わるのではないでしょうか?
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こだわったからこその自宅葬
代表者(森田理恵子)
プロフィール
経歴
- 1980年3月
-
鹿児島短期大学音楽科卒業。
ピアノ講師として子どもや大人のレッスンをする傍ら、婚礼でエレクトーン・ピアノ演奏をしていたが、1998年、縁あって某大手葬儀社にて司会・ピアノ演奏・アテンダント・控室の清掃など、葬儀現場の女性の仕事を請け負うようになる。 葬儀現場における様々な業務に従事し、葬儀を一から学ぶ。
- 2001年
- 有限会社エムアール・コーポレーションを設立。
- 2007年
-
ある思いからその某大手葬儀社との契約を解除。
社員・スタッフはその葬儀社に移籍、一人でゼロからの再スタート。
- 2015年
- 一般社団法人自分史活用推進協議会認定 自分史活用アドバイザー資格取得。
- 2017年
- 一般社団法人グリーフサポート研究所認定 グリーフサポートバディ資格取得。
- 2018年現在
-
約10社からの司会・ピアノ演奏の依頼を受け、スタッフを派遣。自らも司会者として奮闘中。
もっとご遺族の為にできることがあるのではとの想いから2015年より、株式会社ジーエスアイで、以前から興味のあったグリーフサポートを学ぶ。
- 2018年
- 一般社団法人グリーフサポート研究所認定 セレブラント資格取得。