ある葬儀の風景 view
お棺の周りでお花を入れながら
2024/05/16
ある日のご葬儀です。
葬儀の担当者より本日の葬儀はナレーションなしと言われました。
と言っても、通常、弔電、遺族挨拶等の打ち合わせは必要なので、その際、ナレーションは書かないにしろ、どのような方だったのか思い出を聞かせていただくことは多いのです。
で、結果、ナレーションにまとめていただくと嬉しいです。と言われたりして、やっぱりナレーションを入れるケースもしばしば。
が、この日の葬儀は、90代の未婚の女性。
甥御さんが喪主で、10名足らずの家族葬でした。
弔電もないし、身内だけなので、遺族挨拶もしないとのこと。
ですので、ご挨拶だけして式が始まりました。
聞くところによると…
故人は施設に入っていらしたようですが、「こんなところに入れやがって…」と言われていて
甥御さん・姪御さんは嫌な思いもされたようです。
とのこと。 よく聞く話のような気もします。
担当者曰く
「でもこうやってお葬式あげてくださるのだから、今、ありがたいって思ってらっしゃるかもですね~」
葬儀が始まり、その時のお寺さんはお勤めの短い方で、30分足らずで葬儀式のすべてが終わってしまいました。
(通常、約40分のお勤め。その後、弔電代読 遺族挨拶 ナレーション 閉式)
担当者に、「早く出棺しても大丈夫なので、閉式してお別れに入って良いですよ」と言われ、
いつものように、最期、皆様にお花を入れていただいたのです。
🌸 🌸 🌸 🌸 🌸 🌸 🌸 🌸 🌸
一人ひとり、「お疲れ様でした 大変でしたねぇ~」と故人に声を掛けながらお花をお手向けになる様子に、
不仲だったと聞いていた親戚ですが、それぞれに思いはあるんだなぁと感じました。
それで、思い切って声を掛けてみたのです。
「○○様は私の母と同じ年なんです。終戦は青春時代の真っただ中。苦労も多かったのでしょうね」
すると、喪主さんはじめ、ほかの方々もぽつりぽつり。
「叔母には戦争に関係なく青春時代なんてなかったはずです。生まれつき障害があって、片手の肘から先がなかったのですよ。
両親も早くに亡くなって、苦労してきたんのです。」
「山菜を採って行って、それを売ったり、片手は指がないのに、器用に洋裁をしてね。
それで収入を得ていました(だった、だった)。
家も建てているのだから大したものです。(本当に、そうだよね~)」
「とても生活力のある女性でした。その分、厳しさもありましたけどね。
でも、本当に頑張ってきた人です。(うん、うん」
「本当にすごい人だったよね~ よく頑張ったよね~ 」と
その生涯に思いをはせ、最期は、皆さんからの労いと賞賛の言葉でお棺の蓋が閉じられました。
ナレーションなくても、少人数でこうやってお棺を囲んで思い出話をする、というのも素敵なご葬儀だなぁと感じました。
家族葬なら特に…
出棺前に霊柩車横で喪主様がご挨拶をされましたが
「みなさん、ご会葬ありがとうございました。叔母も喜んでいると思います」と涙ながらに話されたのが、とても印象的でした。
人は、特に家族は、すれ違いも多いもの。
綺麗ごとだけでは済まないことも、たくさんありますよね。
良いも悪いも全てををひっくるめて、温かい気持ちでのお見送り。
そんなご葬儀であってほしいと、つくづく思います。
だから、思い出を共有するってとても大切なことだと感じています。
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こだわったからこその自宅葬
代表者(森田理恵子)
プロフィール
経歴
- 1980年3月
-
鹿児島短期大学音楽科卒業。
ピアノ講師として子どもや大人のレッスンをする傍ら、婚礼でエレクトーン・ピアノ演奏をしていたが、1998年、縁あって某大手葬儀社にて司会・ピアノ演奏・アテンダント・控室の清掃など、葬儀現場の女性の仕事を請け負うようになる。 葬儀現場における様々な業務に従事し、葬儀を一から学ぶ。
- 2001年
- 有限会社エムアール・コーポレーションを設立。
- 2007年
-
ある思いからその某大手葬儀社との契約を解除。
社員・スタッフはその葬儀社に移籍、一人でゼロからの再スタート。
- 2015年
- 一般社団法人自分史活用推進協議会認定 自分史活用アドバイザー資格取得。
- 2017年
- 一般社団法人グリーフサポート研究所認定 グリーフサポートバディ資格取得。
- 2018年現在
-
約10社からの司会・ピアノ演奏の依頼を受け、スタッフを派遣。自らも司会者として奮闘中。
もっとご遺族の為にできることがあるのではとの想いから2015年より、株式会社ジーエスアイで、以前から興味のあったグリーフサポートを学ぶ。
- 2018年
- 一般社団法人グリーフサポート研究所認定 セレブラント資格取得。