ある葬儀の風景 view
のこされた一冊のノート「我が家の記録」
2018/12/21
あるご葬儀です。
市役所勤務を経て市議会議員になり、地域のために、障がい者のために尽力した90代の男性。
通夜・葬儀と訪れた大勢の方が「本当にお世話になりました。」と故人に語り掛け、手を合わせていらっしゃいました。
子どもさん方にお話を伺うと、お父様は幼い頃、病気が原因で障害が残り、学校に上がるといじめられ、辛い思いをされたということでした。その経験が「障がい者を守りたい」という気持ちを強くしたのでしょう。
人の痛みのわかる、思いやりのある方だったそうです。
ご家族との打ち合わせの途中で、いったん席を離れた息子さんが大事そうに一冊のノートを持ってこられました。
「我が家の記録」とタイトルの記された古いノート。お父様が書かれたものです。
〇〇家の家系図、お孫さんまで含めた家族の生い立ち、職歴
交友関係、不動産など財産 etc.
もう何十年も書いていらっしゃるようでした。
いわゆる、エンディングノートを手作りしたって感じでしょうか
または、自分史とも言えるのではないでしょうか
息子さんがノートをめくりながら、話して下さいました。
「これがあったから、父の訃報を皆さんにお知らせすることが出来ました。
そして、弔問に見えた方々が、父がどんな人だったか、私たちの知らない父の話も聞かせて下さって・・・
改めて父の凄さを感じました。」
30年ほど前に奥様を亡くされた経験から、元気なうちに、遺された人にとって必要なことを、また、自分の色々な思いを、書き記したいとそんな思いがおありだったのかもしれません。
几帳面な方で毎日、手帳に日記をつけ、アルバムの写真には、一枚一枚に一言コメントが書いてあるとのこと・・・
それらはまさに「自分史」です。
毎日の日記は無理としても、やはりエンディングノート的なもの、あるいは「自分史」的なものは必要だなぁと改めて感じました。
ご自身の励みにもなっていたと思いますし、遺されたご家族にとっては「宝物」となっています。
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こだわったからこその自宅葬
代表者(森田理恵子)
プロフィール
経歴
- 1980年3月
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鹿児島短期大学音楽科卒業。
ピアノ講師として子どもや大人のレッスンをする傍ら、婚礼でエレクトーン・ピアノ演奏をしていたが、1998年、縁あって某大手葬儀社にて司会・ピアノ演奏・アテンダント・控室の清掃など、葬儀現場の女性の仕事を請け負うようになる。 葬儀現場における様々な業務に従事し、葬儀を一から学ぶ。
- 2001年
- 有限会社エムアール・コーポレーションを設立。
- 2007年
-
ある思いからその某大手葬儀社との契約を解除。
社員・スタッフはその葬儀社に移籍、一人でゼロからの再スタート。
- 2015年
- 一般社団法人自分史活用推進協議会認定 自分史活用アドバイザー資格取得。
- 2017年
- 一般社団法人グリーフサポート研究所認定 グリーフサポートバディ資格取得。
- 2018年現在
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約10社からの司会・ピアノ演奏の依頼を受け、スタッフを派遣。自らも司会者として奮闘中。
もっとご遺族の為にできることがあるのではとの想いから2015年より、株式会社ジーエスアイで、以前から興味のあったグリーフサポートを学ぶ。
- 2018年
- 一般社団法人グリーフサポート研究所認定 セレブラント資格取得。