ある葬儀の風景 view

喪主様の手紙

喪主様の手紙

ある日のご葬儀です。

 

ご遺族との打ち合わせの場に行くと、喪主である奥様が「主人のことを手紙に書いたの。いえ、書こうとしているんだけど、なかなかまとまらなくて・・・」と何枚ものメモ用紙を見せて下さいました。

途中まで書いては、そこから進まず、また初めから書いて、途中で止めて・・

やはり、大切なご主人を亡くされ、混乱していらっしゃるでしょうし、集中力も低下していらっしゃるのでしょう。

想いを文章化するのが、難しそうでした。

でも、「表現したい」という想いは伝わってきます。

 

「私がお話をお聴き致します。一緒に書き上げませんか?」とご提案。

ホッとされた表情になった喪主様でした。

 

まず、お手紙を拝見しました。

故人らしさが書かれた幾つかのエピソード。その一つ一つを詳しく教えていただきました。そして、前日からお渡ししてあるお人柄シートも見せていただき、2人の娘さんからもお話をお伺いしました。

 

全てとは言いませんが、ご遺族ってずっと悲しい表情だけではないんです。

どこかで笑う時間もあるんです。それは、決して不謹慎などではなく、ご遺族にとって必要な時間なのだろうと思います。

そういう時は、私も笑ってお話を聴きます。時には笑い声も起こりますし、私は突っ込みを入れたりします。「あっ、失礼しました~」って皆で笑ったり・・・

 

けれど、もちろん涙もあります。

この打ち合わせもそうでした、和やかに笑いながら話された後、ほんの一週間ほど前迎えたお正月の話は泣きながらでした。

一年前、病気がわかり、自宅療養を望んだご主人。

懸命にリハビリに励み、孫たちが遊びに来て、リハビリを手伝ってくれると、感謝の言葉をかけていらしたそうです。そして、家族が集まり、奥様の手料理で迎えた賑やかな新年。

皆が帰ったあと、ご主人が奥様に声を掛けたそうです。

「新年を迎えられて、ありがとう。お世話になったね。」って

 

「お世話になりますじゃなかったのよ。お世話になったね」って言ったんですよ。

そう長くないと分かっていたのでしょうね。

その言葉に、主人と二人して泣きました。

「こちらこそ、ありがとうございました。」お互いに感謝しながら、泣きました。

ただただ、泣きました。

そう話してくださった奥様の目にも涙。

 

ご夫婦の、悲しくも素敵なひとときだったのではないでしょうか?

 

代表謝辞は故人のご兄弟でしたので、喪主様の話は、喪主様から会葬者へのお礼のお手紙としてまとめ、代読と言う形で読みました。

 

閉式後、喪主様から「本当にありがとうございました。」と言われましたので、

「お聴きしたことをまとめただけです。あれは喪主様の言葉です。ですので、良かったら、ご自宅にお送りいたしますが」と申し上げたところ是非という事でご自宅に送りました。

私が学んでいる株式会社ジーエスアイの「大切な人を亡くしたとき」という小冊子を添えて・・・

 

そして、後日、お礼の電話をいただきました。「みんな、あの手紙が良かったって言ってくれてね~ ありがとうございました。葬儀社の社長さんにあなたのことを言っておくからね。良くしてもらったって・・・」

 

ご葬儀は悲しみの中の儀式ですが、良かった~と思える思い出深い儀式になったのなら、葬儀は意義のある儀式だと感じていただけるだろう、そのためのお手伝いをしたいと改めて感じた私でした。

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代表者(森田理恵子)
プロフィール

経歴

1980年3月

鹿児島短期大学音楽科卒業。

ピアノ講師として子どもや大人のレッスンをする傍ら、婚礼でエレクトーン・ピアノ演奏をしていたが、1998年、縁あって某大手葬儀社にて司会・ピアノ演奏・アテンダント・控室の清掃など、葬儀現場の女性の仕事を請け負うようになる。 葬儀現場における様々な業務に従事し、葬儀を一から学ぶ。

2001年
有限会社エムアール・コーポレーションを設立。
2007年

ある思いからその某大手葬儀社との契約を解除。

社員・スタッフはその葬儀社に移籍、一人でゼロからの再スタート。

2015年
一般社団法人自分史活用推進協議会認定 自分史活用アドバイザー資格取得。
2017年
一般社団法人グリーフサポート研究所認定 グリーフサポートバディ資格取得。
2018年現在

約10社からの司会・ピアノ演奏の依頼を受け、スタッフを派遣。自らも司会者として奮闘中。

もっとご遺族の為にできることがあるのではとの想いから2015年より、株式会社ジーエスアイで、以前から興味のあったグリーフサポートを学ぶ。

2018年
一般社団法人グリーフサポート研究所認定 セレブラント資格取得。

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有限会社エムアールコーポレーション

鹿児島市伊敷1丁目14-8TEL:090-1510-8889 FAX:099-833-3026Mail:madoguchi@deainosougi.com

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