ある葬儀の風景 view
愚痴もこぼしていいんです
2018/08/01
いつものように、会場に入り担当者と打ち合わせ。
「森田さん。今回ナレーションは無しです。ご家族のご要望です。」と言われました。
この葬儀社は前日より、翌日、司会者との打ち合わせがある事。そして、その時、故人のお人柄などお聞きしてナレーションとして綴るという事が説明してあるのです。
もちろん、ナレーションは必ずしも、ないといけないものではありません。
ただ、私はナレーションは演出の一つ、とは考えておらず、故人・ご家族を知らずしてマイクを持つのには抵抗があります。
その旨、担当者に説明して、ご家族と打ち合わせをさせていただきました。
弔電の打合せをして、少し和んだところで、喪主である奥様に、故人の事をお聞きしましたところ、「う~ん。なんていえばいいかしら」といいながらポツリ、ポツリ・・・
かなり焼酎を飲む方で、酔うと暴言を吐くは、手や足も出たと色々な話を聞かせて下さいました。時には笑いながら、娘さんと故人の事を話してくださいます。ほとんどが悪いとこだけ・・・
奥様はご苦労なさったようで、「これからは羽を伸ばすわ」と「そうですね。ご自身の人生を楽しんでくださいね」と私。
最後に一つ提案しました。「一つだけ、良いところ捜してみましょうか?」「・・・・・・・ないね~」と大爆笑!!
けれど、そのあと話してくださいました。
病気になって、それほど長くない命と分かったら、家で過ごすと入院しなかったご主人。
奥様は、ご主人の入院前から、同窓会で旅行をする予定があったが、病気のご主人を置いていくわけにもいかないから諦めていた。
「もう、断りますね」って言ったら「行って来ればいい」って言ってくれたんですよ。
嬉しかったわ~
ご主人は奥様に甘えていらしたんでしょうね。不器用な方で結局最後まで「ありがとう」と感謝の言葉は言わなかった。けれど、「行って来ればいい」それが、ただ一度だけ示してくれた感謝の言葉だったんだと思います。
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結局、それがナレーションとなりました。
お嬢様が是非にと言われて・・・ 「そんな父の事も覚えておきたい」って羽を伸ばすとおっしゃってましたが、今、寂しさも感じていらっしゃるんだろうなぁと思います。ずっと尽くしてこられたのですから・・
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こだわったからこその自宅葬
代表者(森田理恵子)
プロフィール
経歴
- 1980年3月
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鹿児島短期大学音楽科卒業。
ピアノ講師として子どもや大人のレッスンをする傍ら、婚礼でエレクトーン・ピアノ演奏をしていたが、1998年、縁あって某大手葬儀社にて司会・ピアノ演奏・アテンダント・控室の清掃など、葬儀現場の女性の仕事を請け負うようになる。 葬儀現場における様々な業務に従事し、葬儀を一から学ぶ。
- 2001年
- 有限会社エムアール・コーポレーションを設立。
- 2007年
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ある思いからその某大手葬儀社との契約を解除。
社員・スタッフはその葬儀社に移籍、一人でゼロからの再スタート。
- 2015年
- 一般社団法人自分史活用推進協議会認定 自分史活用アドバイザー資格取得。
- 2017年
- 一般社団法人グリーフサポート研究所認定 グリーフサポートバディ資格取得。
- 2018年現在
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約10社からの司会・ピアノ演奏の依頼を受け、スタッフを派遣。自らも司会者として奮闘中。
もっとご遺族の為にできることがあるのではとの想いから2015年より、株式会社ジーエスアイで、以前から興味のあったグリーフサポートを学ぶ。
- 2018年
- 一般社団法人グリーフサポート研究所認定 セレブラント資格取得。